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こうして、私の部屋にはまた、神様がたまに遊びに来て、いつしか射手独楽神社にも参拝する人々が戻ってきましたとさ。
◇◇
――ローマの神界では……
「なあ、お前の旦那はまだ東の最果ての国に居座っているのか」
プシュケーの輝く黄金の髪を指に絡めながら、アポローが問うていた。
「やめてよ。睦言の最中に別居中の旦那の話なんか。雰囲気ぶち壊し。だからあなたのことは本気になれないのよ」
美しい薔薇色の頬をプクっと膨らませて抗議する。
「ウェヌスがさ、たまに心配して俺に予知を頼むんだよ」
そう――光の神アポローは予知、予言の神でもある。
「先のことを知ったところで、クピードーが戻る当てもないでしょうに。ほんと、いつまでも子離れができないんだから、あの性悪女」
「そう言うなよ」
アポローはクツクツと笑いながら予言の水鏡を見せた。
「何年後?」
「十年くらいかな」
二柱の神がのぞいた世界には…………
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