めでたしめでたしって、こういうことなのかもしれませんね

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「……氷雨君が私のこと好きって言ってくれて、すっごく嬉しかったなぁ」  何処となく懐かしむようにそう言えば、澪の細い腰に氷雨の腕が回された。それに驚いて澪が彼の顔を見上げれば、彼は何処となく挑発的に笑いながら「……俺は、本気だ」としっかりと言う。 「俺は本気で澪が好きだ。……だから、今後とも放すつもりはない」  まっすぐに真剣にそう告げられて、澪の顔に熱が溜まっていく。一気に意識が現実に戻り、ぼんやりとしていた思考回路がはっきりとする。 「……うん、そっか」  氷雨の言葉に返せるのは、たったそれだけの返事だった。  ゆっくりと。だけどしっかりと返事をすれば、氷雨の腕が澪の後頭部に回り――自身の胸に押し付けてくる。 「年齢差とか、大人になったら関係ない。……わかるだろ?」 「……うん」 「澪。……好きだからな」  その言葉は澪の心にしみわたっていく。  いつしかあきらめてしまった恋は、しっかりと花開いた。……まぁ、彼が御曹司になったというちょっぴり想定外のことはあったのだが。
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