私が悪いんだ

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「花織……いいの?」  私は頬を擦りながら花織を目を見つめる。  その目には確かに私が映っている。 「それであんたの好意を笑ったら、あんたと同じだから。ただ由香里にとってもこれからは茨の道だからね?」 「うん……」  つい涙が溢れる。私はどうして何年も悪女を演じたんだ。私が阻害していたのは花織だけじゃない。私が私自身を阻害していたんだ。 「じゃあね。またね」  花織はそう呟いて店から消えていった。  その後、レジを任せた山田くんに頭を下げる。 「ごめんね山田くん」 「いえ。いいです。でも佐々木さんのこと知れて良かったです。俺、これでもモテるんです。なかなか佐々木さん靡かないなぁって思ってたら好きな人いたんですね。今日は俺の失恋記念日だ」  山田くんはにかりと笑う。 「恋叶えてくださいよ。コーヒー飲みますか?」 「ありがとう。甘いのお願い」  明日からどうなるか。ただ結局気持ちを伝えなきゃ意味がないとよく分かった。  これからは私じゃないものを演じないように素直になろう。  そんな上手くいくとは思ってないけど甘い生活を想像しながら甘いコーヒーを飲むのも悪くないはずだ。
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