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 肩を組んだままエレベーターに乗り込んだから、ぐいっと力強く抱き寄せられた。  エレベーターを降りる時「やだけど、一旦離すね」と言った耀くんが僕から腕を離して、僕も耀くんから手を離した。  耀くん家に入ると、少し開いているリビングとの間のドアの向こうから音楽が聞こえていた。そして英語のセリフ。 「母さん映画観てるっぽいな」  耀くんがそう言って、一応帰って来たことは言ってくる、とリビングに向かった。僕も挨拶ぐらいしておきたいので付いていく。  リビングでは耀くんの両親が映画を観ていた。 「あ、おかえり耀。いらっしゃい碧くん」  僕たちに気付いた耀くんのお父さんとお母さんが笑顔を向けてくれる。  僕は「こんにちは」と頭を下げた。 「ただいま。ずいぶん古い映画観てるんだね」 「そう。これの続編やってるじゃない。観たいなと思って。でもこれも忘れちゃってるから」 「ふーん。あ、俺コーヒー入れるけどどうする?」  そう耀くんが訊くと2人が「お願い」と声を揃えた。 「了解。碧、悪いけど俺のバッグ部屋に入れといてくれる?で、待ってて。コーヒー入れたら行くから」 「うん」  耀くんはさっき部屋の前の廊下にバッグを置いていた。  僕はリビングから出て耀くんの部屋に向かった。部屋の前に置かれたバッグを持ってドアを開ける。  大きな本棚と、PCのモニターの置かれたデスク。家具は木製で明るめのブラウン。ベッドカバーとカーテンはモスグリーン。  デスクの脚元あたりにバッグを置いた。  本棚を見てみる。コミックや小説。3分の2くらいは借りて読んだと思う。  カチャッとドアが開いて、コーヒーカップののったトレイを持った耀くんが入ってきた。 「お待たせ、碧」  そう言ってドアを閉めると、カチッと鍵をかけた。  2人っきりに、なれた  トレイをデスクに置いた耀くんに後ろから抱きついた。 「この前と逆だね」  そう言って耀くんが笑う。 「…耀くん、だいすき」  厚みのある耀くんの身体をしっかり抱きしめた。  今日はいつもの耀くんだけど、耳の奥に昨夜の耀くんの不安気な声が残ってる。 「碧…」  耀くんの胸に回した僕の手に、耀くんが手を重ねた。それから僕の左腕を掴んで、ぐいっと引っ張った。引っ張られた僕は、すぽっと耀くんの腕の中に収まった。 「なんかさ、骨抜きにされるってこういうことなのかなって最近思うよ」  大きな手で僕の頬を撫でながら耀くんが言う。 「僕は耀くんに溺れてるよ…」 「ほんとに?それは大変だ」  ふふっと笑った耀くんが、僕に口付けた。  キスは2日ぶり  啄むように口付けて、一度唇を離した。 「さっきの映画、たぶん半分くらいだったから、後1時間はリビングから出ては来ないと思う」  2人で映画を観ていた耀くんのご両親。 「でもさすがに親がいる家で碧を抱けないからなあ」    僕をぎゅうっと抱きしめながらそんなことを言って、また僕にキスをする。  舌と舌が触れ合う感触に背筋がぞわりと震えた。  段々足元が怪しくなってきて、耀くんの背中に回した手でシャツにしがみつく。  耀くんが、ぐいっと僕を抱き上げた。  そしてベッドに下ろされて、羽織っている長袖のシャツを脱がされる。 「…ちょっとだけ、ね」  そう言って、堪らなく魅力的な微笑みを僕に向ける。  そんな顔をされたら、どうにでもしてほしくなる。  ベッドに押し倒されて、耀くんの体重を受け止めた。  キスをしながら耀くんの手がTシャツの中に入ってくる。  ちょっとって、どれぐらい…?
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