恋愛

56

　僕をぐいっと抱き上げた耀くんにベッドに押し倒された。
「…んっ」
　服の中に入ってきた大きな手に、胸の先を軽く撫でられただけで身体が捩れた。
　耀くんの舌が僕の舌を絡め取る。
　キスをしながら長袖のシャツをたくし上げられて、硬くなった先端を執拗に弄られてどんどん体温が上がっていく。

「また…我慢してたんだ、碧…」
「あ…っ」
　もう反応を見せている身体をするりと下から撫で上げられた。
　口の端から唾液が流れていく。でも息が荒くて口を閉じることもできない。

　僕の両脇に腕を突いた耀くんが、意地悪な瞳で僕を見下ろす。
　そして見せつけるように舌を出して、ゆっくりと僕の上に屈んでいく。
　その熱い舌が僕の胸の突起を包むように舐め回した。
「あ…あ…、よう、くん…っ」
　僕は耀くんの肩に手をかけて、襟付きの長袖シャツに指を這わせた。

「…ね、ね、…さわって？…もう、まてない…っ」
　舌で舐めながら前歯で甘噛みされる。上半身への刺激で下腹が張り詰めて辛い。

　もう、濡れてきちゃってる…
　身体の奥もじわじわと潤んでくる。
　でもまだ耀くんは触ってくれない。

　たくし上げられたシャツを、すぽっと脱がされた。
「痕、ここだけになって、初めての時みたいだな」
　くすっと笑った耀くんが、この前付けた鎖骨の上の痕に口付けた。
　僕は耀くんのシャツに手をかけて脱がそうとするけれど上手くいかない。

　焦れている僕を、耀くんが見下ろしている。
「ようくん…、ねぇ…っ」
「…可愛いなあ、ほんと…」
　僕の上に跨った耀くんが、長袖シャツを脱いでTシャツもばさっと脱いだ。
「ガッツリ体操服焼けになってんだよなあ」
　って、耀くんが自分の腕を見て笑う。
「碧は焼けないね、やっぱり。白い…」

　腕を、指先ですーっと撫でられるだけでもぞわぞわする。
　覆い被さってきた耀くんが僕の首筋にキスをする。痕が付かないくらい弱く吸われても、過敏に反応してしまう。
　キスをしながらまた胸を弄られて、触ってもらえないまま下腹が濡れていく。

　もう、無理…っ

　自分で自分のベルトに手をかけた。
　キスしてる耀くんが笑ったのが分かった。
　ちゅっと音を立てて唇を離す。

「我慢できない？」
「…だっ…て…っ」
　涙目で見上げると「ごめんね」って目元にキスをされた。
「最近煽られてばっかりだから、ちょっと意地悪したくなった」
　耀くんが少し笑いながらそう言って、軽く口付けて身体を起こした。
　素早く僕のベルトを外して、ズボンも下着も脱がしていく。

「ああ、もうかなり…」
「…や、だ…っ、いわないで…っ」
　恥ずかしくて顔が熱い。
「この辺の痕も消えたね」
　腰骨の上から下腹にかけて、手のひらで撫でられる。

「…あっ…」
　我慢してるのに出てきちゃう…っ
「すっごい煽情的…、やばい…」
　耀くんが唇を舐めた。

　僕は浅い息を繰り返しながら、耀くんのジーンズのフロントフライを撫でた。
　硬い生地の向こうに耀くんの熱を感じる。
　そこに手を当てたまま、耀くんを見上げた。

　耀くんの尖った喉仏が上下する。
　ベルトを外す日焼けした大きな手が、少し焦っているように見えて嬉しくなった。

　もっと余裕のない耀くんを見たい。
　僕だけじゃなくて、耀くんにも溺れてほしい。

　喉が渇いて仕方がなくて唇を舐めた。