63

1/1
前へ
/66ページ
次へ

63

 2人とも鼻を啜りながら、赤い目をして、笑いながら洗い物をした。  食器を棚に仕舞って、ゴミを片付けて「おしまい!」って言って抱き合った。  僕は耀くんの首に手を回して見上げた。  耀くんは僕の腰に腕を回して抱き寄せる。  見つめ合ったまま唇を重ねた。    何回も何回もキスをして、段々足元が覚束なくなってくる。 「…耀くん」  キスの合間、唇を合わせたまま呼びかけた。 「ん?」  耀くんが僕の下唇をぺろりと舐めた。 「階段、上れなくなっちゃう…」  耀くんの服にしがみつきながら言うと、耀くんは「それは大変だ」と言って僕の頬にキスをした。 「さすがに階段はキビしいからなぁ」  そう言って階上へと(いざな)う。  ぴったりと寄り添って階段を上って僕の部屋に入った。  耀くんに抱きついてキスをしながらベッドに倒れ込んだ。  お互いの服をどんどん脱がし合って、あっという間に裸になって抱き合った。 「碧は抱きしめてるだけで気持ちいい…。まだ何もしてないのに」  隠すものが何もないから、お互いの昂りははっきりと分かる。 「僕も耀くんにぎゅっとされるの、だいすき」  えへへって笑って言ったらまた、可愛いなぁって言われた。  四肢を絡め合いながらキスを繰り返す。  耀くんが僕の頬に、唇に口付けて、首筋や鎖骨を甘く吸う。 「…ねぇ碧」  僕を見下ろす耀くんの鋭い視線にぞくぞくした。 「俺もリミッター外しても、いい?」  低く、甘い声で囁いた口元だけが笑っている。  身体が内側から熱くなってじくじくと潤んでくる。 「…うん。うん、耀くん…」  外して…、と呟いて、凶暴な色をのせて微笑む端正な頬を両手で包んだ。 「いいの?…ほんとに?」  綺麗な耀くんが僕を見下ろす。  僕はうっとりと見上げて、そして頷いた。  両の手のひらで包んだ、悪い笑みを浮かべる耀くんの顔が、ゆっくりと近付いてきて、ごく軽い啄むようなキスをした。  ちゅっ、ちゅっと軽いキスを繰り返して、ちろちろと唇を舐められて急速に昂まっていく身体を制御できない。  うるさいぐらい心臓が鳴ってる。  脚に当たる耀くんの熱が早くほしい。  キスが深くなって息が苦しい。  耀くんが僕の肩に胸に、痛みのあるキスをする。 「…ようくん、…あっ」  熱い舌が胸の先を舐めた。 「ごめんね、碧。また体育出られないね」 「…いい、そんなの。…だから…」  はやく…っ  膝に手をかけられて自分から脚を開いた。耀くんが、ふっと笑う。  大きな手が内ももを辿っていく感触でも期待感で濡れてくる。 「…あ…っ」  ぬるりと指が触れた。 「すご…、中溶けてる…」  吐息のような声でそう言った耀くんが、長い指で僕の内側を確かめるように探る。 「あ、あ、あ、…よう、くん…、も…う…っ」  はやく、はやく…っ  脚が腰がびくびく跳ねる。  僕の様子を愉しむように見下ろしてくる耀くんに手を伸ばして涙目で見つめた。  顔が熱い。胸も息も苦しい。…でも何より 「おねがい…っ、…はやく いれて…っ」
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

252人が本棚に入れています
本棚に追加