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 脚を開いて、精一杯耀くんを誘惑する。 「う…わ、やらし…」 「…あ、…んっ」  中の指を回すように引き抜かれた。先走りがだらだらとこぼれ落ちていく。 「すっごい欲しそうにしてる。ここも、顔も…」  耀くんが僕の腰を抱えた。  ぷちゅっと音を立てて、ゆっくりと耀くんが入ってくる。 「あ…ん…っ」  入口を広げられる感触。  僕がこれが好きって言ったから、殊更ゆっくりと進めてくれてる。  背骨に沿ってぞわりと快感が這い上がってきた。  すごい気持ちいい 「もう、いきそうなんじゃない?」  笑みを含んだ低い声でそう言いながら、耀くんが僕の濡れた性器の先端を指で弄った。 「や…だ…っ、いっちゃう、から…っ」  さわらないで、って大きな手を掴んで首を振った。 「可愛いなぁ、ほんと。俺、お前と住んだらどうなるんだろ」  くすくすと上機嫌で笑って、僕の内側を抉るように耀くんが腰を進める。  奥まで入って少し揺らされて顎が上がった。 「こんな可愛い子が家にいるって最高だよね。も、どっこも行きたくない」  ゆるゆると僕の中を出入りしながら、夢見るように耀くんが言う。 「…あ…っ、ようくん…、ぜったい…だよ…?」  でも夢じゃやだ 「ん?」  耀くんが僕の顔を覗き込んだ。僕はその背中に手を回した。 「ぜったい、ぼくと…、いっしょ…に、くらして…?」  してる時に喋ると、どうしても舌足らずな話し方になっちゃう。 「碧…っ」 「…あ…っ」  身体の中の耀くんが質量を増した。苦しいほどの圧迫感を与えながら、更に僕の奥に入り込もうとする。 「ああ、絶対だ。絶対、一緒に暮らそう、碧」 「…っ」  強く揺さぶられて声も出せなかった。  耀くんの広い背中に爪を立てる。  耀くんは僕のものだ  誰にも渡さない 「う…わ…っ、キッツ…っ」  も、無理、と呟いた耀くんが、荒い息を撒き散らしながら僕を激しく揺さぶった。 「…あっ、あ あ あ…っ」  高くて甘ったるい声が出た。最初からすぐそこに見えていた頂点に容易く昇らされる。  薄い腹にぱたたと白濁が飛び散ったのを感じた。 「く…っ」  身体の中を濡らされて、耀くんの動きが止まった。  はぁはぁと息をしながら、僕の顔のあちこちにキスをする。  僕は耀くんの腰に脚を巻き付けて離れてしまわないようにしがみついた。  息も整わないまま口付けて、舌を絡め合うからいつまでも苦しい。  苦しいけど止めるつもりもない。耀くんの舌が甘いような気さえしてくる。 「んっんっ…」  また、ゆるく身体を揺さぶられ始めた。インターバルがいつもよりも短くてちょっとしんどい。  でもこうやって夢中で求められるのは嬉しい。  耀くんの唇が、顎に首に下りてくる。  痛まない程度に柔らかく吸う唇の感触に背中が震えた。  さっき出したものを塗り込めるように腰を動かされて、ぐちゅぐちゅと水音が部屋に響く。 「碧、好きだよ…」  キスをしながら耀くんが譫言(うわごと)のように囁いた。  耀くんの前髪から汗の滴が垂れて僕の顔に落ちてくる。  上気した頬と(うつ)ろにも見える瞳。  濡れた唇は少し開いている。  耀くん、すごい色っぽい  そのシャープな頬を撫でて、親指で下唇を辿ってみた。  耀くんは僕のその親指の腹に、ちゅっと音を立ててキスをした。  そして僕を見下ろす視線が、再び鋭いものになっていく。  赤い舌が唇を舐めて、口角がくいっと上がった。  今度はすっごい格好いい…  うっとりしながら耀くんの首に手を回してキスをせがんだ。  何回もキスを繰り返して、また身体を揺らされて、頭も身体も痺れるように気持ちいい。 「…碧、俺のこと、好き…?」  溶けきった脳に、甘く低い声が染み込む。 「あ…うん、うんっ、だいすき…ようくん…っ」  分かりきったことを訊かれて、また同じ返事を口にする。    それが幸せ  時間を忘れて、ただお互いを求め合って、何度か意識を飛ばしてまた抱き合って、そして僕は吸い込まれるように眠ってしまった…。
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