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玄関がドンドンドンと手荒にノックされた。
いつだったか家賃の滞納のせいでカタギじゃなさそうな管理業者が来た際を反芻して震えていると、隣の父も薄目を開けて「借金の取り立てを思い出すなあ」と似たようなことを言ったので、何だか笑ってしまった。
仕方なく応対すると、玄関先に角屋さんが立っていた。
「翠っち。何、この臭い!」
土足で部屋に上がり込み、ガムテープを剥がして勢いよく窓を開けると、外の配管で休んでいた鼠がチチッと鳴いて逃げた。
「ちょっと、おじさんしっかり! 翠っちは?」
「あー、私は大丈夫で――」
私は気持ち悪さがピークに達し、そのまま床に倒れ込んだ。
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