8.これからを刻むとき

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8.これからを刻むとき

 次の週末、無事撮影が終わり、三人で紘登が運転する車で郊外へ向かった。小高い丘を登り、車が止まる。広い斜面には一面樹木が植えられ、石の囲いがされている。 「ここは……?」 「祖父は一年前に体調を崩し、最近亡くなって、俺の両親と共にここへ眠っている。入院している最中、俺に何度も結婚して欲しいとせがんでいた。最後まで詳しくは語らなかったが、すべて自分のせいだと話していた」 「紘登……」 「きっと亜澄とあんな形で再会できたのも、祖父のおかげなのかもしれないな」  私は千帆の手を取り、葉を茂らせた樹木に声をかけた。 「はじめまして、亜澄と千帆です!」 「ママ、木とおはなしできるの?」  紘登が千帆の頭を軽く撫でながら笑顔を向け言葉をかける。 「そうだよ。ママは色々なことができるからね。例えば、俺にこうさせてみたり」    そう伝えると、紘登が私の背に腕を伸ばし、千帆の前で軽々と抱き上げた。 「きゃっ! 何してっ!?」 「仕方がないだろ。そうしたくなるように亜澄の魅力がそう仕向けてるんだ」 「ヒロ、ちほも~!」  千帆が両手を上げて、私たちを下から見上げている。紘登が私を抱いたまま腰を下ろすと、千帆を抱き寄せた。 「これからは、三人ずっと一緒だ」  千帆は不思議そうに紘登を見つめ、三人でしばらく丘の上で抱き合った。                               
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