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入場チケットを並ぶ列はたくさんあり、人混みに押され、私たちと兄のいる場所は離れてしまった。
「千帆、絶対手を離しちゃだめだよ。ここで迷子になったら大変なんだから」
「うん! ママの手、ぎゅってする!」
入場カウンターにいるスタッフがチケットを一枚一枚確認し、読み取り機にかざしていく。ゲートをくぐろうとしたその時、背後から声をかけられた。
「あの、そちらのお嬢様とお母さま。申し訳ありませんが、少しだけお時間いただけませんでしょうか?」
一瞬何のことか分からず、辺りを見回す。どうやら女性スタッフの視線は私の方へ向けられているようだ。
「あの、今とても急いでいて。これからプリンセスハウスへ行かないと……」
「どうかお話だけでも聞いていただけますか? それにドレスでしたら、今後もっと素晴らしいものが提供されます。どうか一緒にこちらへお越しいただければ」
言われた意味もよく分からず、私は千帆と案内ステーションの裏側へと連れて行かれた。
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