7.幸せと真実

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「どうしたの? 千帆の髪型でおかしなところでもあった?」 「いや……何も問題ない」    心配になって尋ねてみるけれど、紘登は作ったような笑顔を浮かべるだけだった。  その時、大きなカメラを抱えた五十代くらいの男性が目の前に現れた。 「千帆ちゃん、カメラのほう向いてくれる?」  千帆は言われた通りに顔をカメラへ向けると、パチリとシャッター音を響かせた。 「いいね! 目元がクリッとして、かわいらしい顔立ちだ。ドレスがよく似合ってるよ」  カメラマンの声に、千帆は嬉しそうな表情を浮かべる。 「彼は昔からの知り合いで、カメラマンをしている安西さんだ。何かイベントがある時に、カメラで記録してもらっている」  写真を撮り終わると、さっそくCM撮影の説明を受けた。窓際に二人が立っているシーンから始まる。特に演技指導などはなく、背後から撮影されるだけだった。その後、千帆は園内を回りながら撮影を進めていくらしい。  人見知りの少ない千帆は、女性スタッフに導かれ、こちらに手を振りながら部屋を出ていく。残ったのは私と紘登だけだった。 「そ、それじゃあ私、そろそろ着替えてこようかな」 「せっかくドレスアップしたんだ。せめて今日はこのまま過ごしたらどうだ?」
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