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死後の仕事
「いなかっただあ!?!?」
アカツキの報告に上司のキリトは声を荒げた。
「はい……いませんでした」
アカツキはキリトの剣幕に申し訳なさそうな顔をしながら、再びそう告げた。
「時間通りに行ったんだろ!?」
「はい、時間ぴったりに行きました」
「……は?」
「いや、だから、時間ちょうどに対象者の元に行きました」
アカツキの言葉に、一瞬呆気に取られたキリトの顔がみるみる険しくなる。
そして……笑顔を見せた。
「……5分前行動しろって、教わらなかったか?」
申し訳なさそうに見せていただけで、実は余裕たっぷりだったアカツキも、キリトの笑顔と言葉にさすがにヤバいと思った。
この顔のキリトは何度か見たことある。……ガチギレ寸前の顔だ。
「ちょっと……学校入る前に死んじゃったんでわからないっすね」
ここは天国……のような場所。要するに死後の世界。
たまに『地獄』と表現するものもいるが、まあ、ごく一部だ。
寿命で死んだ『魂』は、この場所を通過して、すぐに輪廻転生の輪に加わる。
事故やなんかで寿命を残して死んだ『魂』は、この場所で現世の行いによって“仕事”が割り振られる。
アカツキは、6歳になったばかりのころ、交通事故で死んでしまった。そして、案内人に連れてこられ、この場所では働きやすいように18歳くらいの見た目に変わっている。そして、実は働き始めてもう60年ほどになるが、生きているときより精神の成長具合がかなりゆっくりになるので精神年齢もようやく見た目に追い付いてきたくらいだった。
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