0人が本棚に入れています
本棚に追加
普段ならキリトのガチギレ寸前の顔を見たら、折れて平謝りするアカツキだが、今日は違った。
アカツキの言葉に、まだ怖い笑顔を保ったままのキリトの怒りゲージが貯まるのが目に見えてわかった。
「……そうだな、お前は早くに“ここ”に来たんだもんな。それはそれでしょうがないよ、うん。でも、『研修』のときに教わらなかったか? あ゙ぁ?」
キリトさん、それじゃチンピラみたいですよ……とアカツキは心の中で突っ込む。さすがにそれを口に出す勇気はない。
「んで、探したんだよな? まさか、探しもせずにのこのこと戻ってきたわけじゃないよな?」
「当たり前じゃないですか! そんな、死んですぐにどっか行っちゃう『魂』なんて、そうそうないんですから。辺りをくまなく探しましたよ!」
キリトの問いかけにアカツキは必死な様子で言葉を返す。
「じゃあ、なんでいないんだよ」
一度すごんで、少し落ち着いたのか、すっかり怖い笑みは消えたキリトにアカツキは少し考える様子を見せてから、答えた。
「たぶん……盗まれました」
「……は?」
「盗まれたました、たぶん」
想定外の言葉に、キリトは呆気にとられて言葉が続かない。そこをアカツキが畳みかける。
「ほら、最近“ここ”に来たやつで、『強制労働反対!強制成仏反対!』とか言って、勝手に新しい派閥みたいなの作ったのがいたじゃないですか」
最初のコメントを投稿しよう!