死後の仕事

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「……そいつが横入りして、『魂』をかくまったって言いたいのか?」  キリトがいぶかしげにアカツキに問う。  彼が実際に『魂』を盗むのに成功したことはほとんどない。……全くないと言えないのが苦しいところではあるが、基本的には案内人たちは指定時間より前に対象者の元へ行く。肉体から抜け出た『魂』とすぐに接触すれば、彼に盗まれることなどない。  そう……指定時間より前に行けば、だ。 「ほら、俺、今日遅刻したじゃないですか」 「さっき、時間ぴったりに行ったって言ってなかったか?」  キリトの顔がまた険しくなるのを見て、アカツキは「やべっ」と心の中で思い、キリトの追求が始まる前に言葉を繋ぐ。 「ちょっと、ほんのちょっとだけ遅れちゃったんですよ。誤差ですよ、誤差。普段だったら、それくらいは問題ないですよね? でも、やつらが待機していたんでしょうね。そのほんのちょっとの間だって、盗むのは可能ですもんね。あはは、参ったなぁ……」  困り果てたような様子を見せるアカツキに、キリトはこれ以上追及しても無駄だと悟って、深いため息をついた。
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