173人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前はここで待っているように」
軽蔑では無く心底嫌っている目と声。
ずっとそういうものにさらされているので、鈴は顔色一つ変えずに礼を言うと頭を下げた。
だが一体何が起きているというのか。
父親に命令され、自分は捨てられたのだとわかった。
それでもあがこうとしていればあやかし達に襲われ、最後は誰かに連れ去られた。
藤谷家もそれなりの家だが、ここの屋敷はおそらくかなり上の身分のところだろう。
座ったまま、助けて貰った礼を言えば返して貰えるのか不安になっていた。
障子が音も無く開く。
その障子を開けた男は頭を下げ、その前を金の髪の男が入ってきた。
腰まである金糸のような髪、整った顔立ち。
目はつり目だが意志の強さを表すようだ。
身長も高く、年の頃は二十歳頃に見えた。
最初のコメントを投稿しよう!