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「ここが極楽浄土か。
陰陽師でありながら面白いことを言う。
ここは鬼のすみかだ。
陰陽師が最高の邪悪としている鬼の、な」
さてどんな反応をするのかと楽しみに見ていれば、鈴は目を丸くした後俯いた。
「私は、食べられるのでしょうか」
鬼は人を食う。
鬼は人を惑わせる。
鬼は最強であり、最悪のあやかし。
そう学んでいた鈴は合点がいった。
こうやって優しくして食べ物を与え、そして気を抜いたところを食うのだろう。
ここなら自分が死んだことも恐らく気付かれない。
あんな森で恐ろしいあやかしに食われるよりも、最後は綺麗な着物に食事をさせてくれたこの美しい鬼なら諦めもつく、と鈴は目を瞑った。
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