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肩の荷物がふらふらしていることに気付いたアスラが抱き直そうとすると、シグが鈴を捕まえる。
「これはどこに置けば?」
まさか自分の主がこんなみすぼらしい人の子を持って帰ってくるとは思わず、シグは苛立っていた。
「俺の部屋の隣にある控えの間にでも寝せておけ。
間違えても廊下に転がしたりするなよ?ちゃんと布団にだ。
人間は、特にそんな子供など簡単に死ぬのだから」
アスラが楽しそうに話すのでシグは大きなため息をつく。
「これをどうする気ですか」
「聞いていただろう?
足が治るまで置いておくと」
「新しい玩具ですか、これは」
玩具扱いされた鈴は、疲れと緊張の糸が切れて深い眠りについてしまい、シグが乱暴に抱きかかえているのに起きもしない。
そんな鈴の頬をアスラは撫でる。
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