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「あやかしはなんで人間を襲うのかな」
鈴もアスラに打ち解けたせいか、話すうちに浮かんだ疑問を口にした。
「逆だ。人間がこちらを襲うからだ」
「でも私がここに来たときに食べられそうになったよ」
「それはお前達が先に襲ってきたのを知って、そして立ち向かい人間を襲ったから味を覚えたのだ。
美味いと知らなければ襲うことも無かっただろうよ」
縁側でお茶を飲みながらアスラの態度は鈴には納得出来ない。
それは自分が教わってきたことと全く違う。
最初に人が襲われ、それを守る為に我々陰陽師はいるのだと。
「不満そうだな」
アスラはからかうように考え込んでいる鈴を覗き込む。
「そもそも人の欲望や悪意があやかしを呼び寄せるのだから自業自得だ。
こちらとてそれなりに管理しているが、全てに目が届くわけでは無い」
「だからそういう困ったあやかしを私達は滅しているだけで」
「違うな。お前達はあやかしでひとまとめにしているだろうが。
俺たちのような者を捕まえようものなら一気に名がとどろくだろうから躍起なのも知っている。
所詮は自分たちの利益のためにしかあやかしを見てはいない」
「なら陰陽師である私の事、憎くは無いの?・・・・・・弱いけど」
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