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鈴は自分の膝に頭を乗せているアスラに口元が自然と緩む。
金の髪は陽の光が当たらなくても美しい。
そんな髪を鈴は撫でた。
最初それを見たシグや臣下の者は心底驚き、鈴を排除すべきだと思ったほど。
だが主がそれを許している。
鬼にとって頭という一番大切な部分を、みすぼらしい人の子が撫でているなどと臣下としては許しがたいのに。
他の者はその気持ちを抑えて様子見をしていたが、アスラがちらりと視線を向ければ蜘蛛の子を散らすようにみな逃げるしか無い。
シグもそんな玩具に何故そこまでさせるのか、主の心が読めなかった。
そんな事が裏で起きているとも知らず、鈴はいつものようにさわり心地の良いアスラの髪を撫でながら言う。
「アスラと出逢ったから、私はあやかしへ違う見方が出来るようになったよ」
アスラは顔を庭園の方から上を向き、鈴の顔を見上げるような体制になった。
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