夜叉鬼の鈴

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何かを決めたようなまなざしに、アスラは身体を起こして鈴の顔を両手で挟むように押さえると自分の方を向かせた。 「何を考えている」 この娘は何か大きな勘違いを起こしている。 言った意味をわかっていないとはどこまで間が抜けているのか。 「足も治ったし家に戻ってお父様と話をしてみる」 流石にそれにはアスラも呆れてしまった。 「お前はあの家でされていたのことを忘れたのか?」 ここで過ごしている中、鈴はアスラの問いかけにぽつりぽつりと自分の境遇を話し出し、それが酷い扱いである事は十分理解した。 そんな場所にまた戻りたいというとは。 それだけやはり人間は人間の中にいる方が良いのだろう。 アスラはそもそも鈴を気まぐれに拾い、玩具代わりにしているつもりだった。 だがその玩具はみるみる勝手な誤解をして、それを話してみるという。 陰陽師を説得する気か?信じられるわけが無い。 どうせそうは言っても帰りたいからその口実だろう。
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