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「お父様、お願いがあるのです」
「申してみよ」
「私はあやかしに襲われそうになりましたが、そこを他のあやかしに助けられました。
そこでは人間を嫌う者が多かったのですが、だんだんと彼らと話が通じることを知ったのです」
ほぉ、と次郎は返す。
なるほど、やはりあやかしに匿われていたのか。
それも鈴にそれほどのことが出来るあやかしなど限られている。
「もしかしてお前は鬼の屋敷にいたのではあるまいな」
鈴はぱっと表情を明るくして、
「はい。非常に強い鬼のあやかしの屋敷で世話になりました。
そこで色々と話をするうち、お互いをもっと知ることが大切なのではと思ったのです。
彼らは好き好んで人間を襲っているわけではなく、そういう者たちを罰してもいるようでした。
私はあやかしが人間を襲うから滅しているのだというと、彼らは人間が襲ってくるから人間の味を覚えたのだというのです。
きっとすべて滅するだけではなく、話をすることも大切なのではと」
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