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「どうであった」
部屋で主が行うはずの仕事をしていたシグは、障子越しに現れた部下に気づき声をかける。
「どうやらあの娘は古びた離れに監禁されている様子。
近くを陰陽師がうろついているため我らも遠くからしか確認できません」
「わかった。引き続き用心して監視せよ」
その言葉で部下の気配が消えた。
さて、と言ってシグは立ち上がる。
そして主が未だ庭園の方を向き寝転んでいる場所まで行くと、片膝をついて側に座る。
「鈴がここ一ヶ月監禁されているようです。
それも粗末な離れに」
ぴく、とアスラの方が動いたのをシグは見逃さなかった。
「どうやら我々をおびき出す餌にしようとしているのか、ずっと屋敷の周囲を陰陽師達が見張っている状態。
部下達も近づけずそれ以上の情報が掴めません」
背中しか見えないシグにアスラの心情はわからない。
だがあと一歩に思えた。
「もしや折檻でも受けているのでは」
急にその場の空気が張りつめた。
それはアスラの妖気が高まったことにシグはその圧力に耐える。
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