夜叉鬼の鈴

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怒っていらっしゃる。 面倒がる主がその言葉で感情をあらわにした。 もうそれは答えが出ているも同然だ。 「いいのですか」 シグが問いかけても答えは返ってこない。 じっとその場でシグが待っていると、 「鈴が俺を呼ばない」 アスラの声は不機嫌そのもの。 なるほど、しっかりと様子は確認されていたのかとシグは呆れながらため息をついた。 「気になるなら持って帰ってくればよろしいのでは」 「鈴が俺を呼ばない」 「あの娘はそもそもあの時ですら最後まで助けを求めなかったのでしょう?。 あやかしを信じて助けを求めるわけが無いではありませんか」 陰陽師とあやかし、それは敵対する者同士。 だがそのことわりに、鈴だけは例外だとアスラは思ってきてしまっていた。 鈴がいなくなって食事がつまらなくなった。 縁側で暖かい枕が無くなった。 その子供は楽しげに普通は誰もが恐れる自分と話していた。 陰陽師であるにもかかわらず。 つい鈴を手放すことが出来ず、三年もここに置いてしまった。 その間にみるみる鈴は美しく育ち、周囲の鬼達は食べるために育てたのだと信じ切っていた。
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