173人が本棚に入れています
本棚に追加
美しいものがあれば愛でたい。
自分のものならなおさら。
なのに鈴はそんなアスラの変化に気づくことも無く、あやかしと陰陽師の橋渡しをしたいなどと言い出した。
裏切られた気がした。
結局は人間の元に返りたいのではないかと。
あんなにかわいがったのに。
あんなに楽しそうに笑うようになったのに。
その反動かアスラは自分でも抑えきれない怒りに変わり、鈴をここから追い出してしまった。
でも思っていたのだ、きっと自分を恋しがるのではないだろうか、何かあれば自分を呼ぶはずだと。
なのにその声はアスラの耳に届かない。
それがアスラの機嫌をより悪くしていた。
「アスラ様」
「放っておけ」
不機嫌な声にシグは頭を下げて下がった。
最初のコメントを投稿しよう!