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アスラは部下が周囲にいないのを確認し、大の字に転がる。
どうしているだろうか。
あの屋敷では酷い目に遭っていたと言っていたのに。
あの姿なら少しはましに扱われるのではと思っていたが、本当に折檻などあっていたら。
もしも本当にあの馬鹿話のような事を父親であるそれも陰陽師に伝えればどうなるのか。
「呼ばないあいつが悪いのだ」
チリン、と縁側につるしていた風鈴が鳴った。
鈴がいなくなってからなんとなく人間の里に下りたときに買った物。
チリン。
誰かが楽しげに笑っている。
その余韻が消えていく。
もう一度その音を聞こうとアスラは目をつむった。
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