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「どうかされましたか?」
畳の上で寝ていた主が身体を起こしたことに、腹心であるシグが声をかける。
「面白い物が入ってきたようだぞ」
「低俗なあやかしなら私が」
「いや、人の子だ」
シグは眉間に皺を寄せる。
先ほどから主はつまらないと仕事を投げて寝そべっていたが、こういう反応の後は決まっている。
黄金の長い髪が立ち上がったことで波のように流れた。
切れ長でつり目のその男、アスラは口の端を上げる。
「どうやら女の子供だな。
暇つぶしに良いかもしれん」
そう言うと、あっという間に風が吹き抜けるような早さで屋敷を出て行ってしまった。
この中で主の早さに勝てる者も追いつける者もいない。
「面倒なモノを拾って来なければ良いが」
シグは既に見えない主にため息をついて、主の仕事を片付けることにした。
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