夜叉鬼の鈴

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足下をよく見ていなかったせいで倒木につまずき思い切り転んだ。 足に痛みが走り、鈴の顔が歪む。 手をつき立ち上がろうとしたが気がついた。 あやかし達に取り囲まれていることを。 「捕まえた」 ねっとりとした声が聞こえ、鈴は隠し持ってきた短剣を引き抜き自分の足下近くに振り下ろす。 ギャァ!という声に動かない片足を引きずり進もうとするが、今度こそ思い切りその足を強く掴まれ、痛みで叫びそうになるのを歯を食いしばる。 「そこまででも助けを求めないのか」 あの男の声だ。 きっと見ながら楽しんでいるのだろう。 あやかしに足を掴まれ必死にもがくが動けない。 周囲は暗闇、木々の間から月の光が差し込んで、極楽浄土に誘う掛け軸の絵と重なった。 その光は鈴の元には届いていない。 これがきっと答えなのだろう。
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