夜叉鬼の鈴

8/65

175人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
あやかしに食われるのは陰陽師として恥。 拾って貰ったお父様に迷惑がかかってしまう。 これ以上恥をさらさぬよう、せめて自分で。 鈴は覚悟を決め自分の首に短剣を突きつける。 震えている手に力を込め、鈴は目を瞑った。 「強情な」 力一杯動かした手が誰かに掴まれ動かない。 目を開ければ、暗闇に長い髪が揺れているのがわかる。 月の光が当たり、その髪は金糸のように広がった。 それはまるで、神が自分の元に降臨したかのごとく神々しい。 「俺の巣に入り込むとは良い度胸だ」 ドスのきいたような声に鈴の身体がビクリと動く。 だがそれは鈴にではなく周囲のあやかしへの言葉。 「な、なんでこのようなところまで」 「屋敷から出てこないのではないのか」 あやかし達は声しか聞こえないがかなり動揺し、じりじりと距離を開けている。 金の髪の男は周囲を鋭い目で見渡し、 「今度入ってきたら全て殺す」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

175人が本棚に入れています
本棚に追加