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結末が決まっている物語を綴っていくことはとてもつまらない。
先生は死んだ。
その事実を軸に語るのはあまりに滑稽だ。
あまりにくだらない結末。
あまりに、気に入らない最終回。
先生は、いつもへらへらと、ふらふらと生きているような人だった。
私は先生と同じ部屋で暮らしながら、けれど彼の生きている姿に嫌悪を抱いていた。
朝になれば、奴は窓の外を睨み付けながら奴は煙草に火を点ける。
部屋に充満する煙と、匂いは私が嫌だ、と主張して奴の足を蹴ろうと奴はやめることをしなかった。
奴は、怠惰な人間だった。
昼になれば、奴はどこかへ出かける。
帰ってくると酒の匂いがするときもあれば、ぼろぼろになって帰ってくることもある。
私はそれを冷たい視線で睨み付けながら、奴にくどくどと説教をしていたように思う。
奴はそれにはいはい、と笑っていた。
奴は、いつも夜の九時には帰ってきた。
門限なのだ、と笑っていた。
門限を設ける大人など、奴にはいないのに。
奴は、どこまでも嘘つきだった。
誤魔化して、誤魔化して、きっと自分の名前すら忘れてしまったのだろう。
そう思ってしまうほどに。
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