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「え、これを耳の中へ入れるんですか?」  そういう薬なのだと、理解した。それは私も怖い。 「頼む!」 「えぇ……」  自分でこの液体を入れるのも怖い。でも、自分でこれを入れるのも怖い。けれども頼まれたのを断る訳にもいかなかった。早速蓋を開け右手に持ち、薬を軽く押す。液体が一滴流れ、バロンさんの耳へ入って行く。 「おぉ、ありがとう。ティッシュを取ってくれ。これで五分はこのままにしとかな、あかんのや」 「分かりました」  早速、デスクの上にある『エリエール』の箱から二枚取り出し、手渡した。 「バロンさん、お疲れ様でした。それで収穫はいかがでしたか?」  麗子さんが私の背後から、顔をのぞかせた。勿論、耳鼻科での診察も大事だが、メインはそれだ。
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