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しかも神妙な顔つきだったということだ。矢島先生は何かを知っているのではないかと、直感した。 「やっと真相にたどりつけそうやな」  耳点薬を入れたバロンさんは、時計で時間を図る。五分間、このままでいなければならないのは、なかなか辛そうだ。耳の中に液体が入るというのは、やっぱりどうも心地はよくない。顔をしかめながら手で耳を塞いでいると、気の毒になった。 「やっぱり、あの奥さん、隠し事してるでしょうね。途中で探すのをやめたのも、何か理由があったんですよね」  麗子さんが納得したように呟くが、それは今日、女医さんと会ったら分かるだろう。
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