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プロローグ
忙しなく歩くサラリーマン。
姦しく笑う学生達。
ゲームショップや本屋で趣味に没頭する老若男女。
そんなありふれた退屈な日常を、俺達人類は漫然と生きていた。
同じ毎日の繰り返しで退屈ではあるものの、確かな充足を感じられる日常を。
しかし、その平和は突如として崩れ去る事となる。
「きゃあああ!」
「に、にげろ! 死ぬぞぉぉぉっ!」
「うわあああ!」
現代科学では解析不可能な、天高く聳える尖塔が世界各地で突如として出現したのである。
なんの前触れもなく、多くの人や車、建物を破壊し尽くして。
人々はその外観からこう名付けた。
【神の柱】と。
それから一週間。
世界は様変わりした。
毎日神の柱の周辺は人でごった返し、撮影用のヘリが飛び交う。
中には神の柱を信仰の対象として見る者まで現れ、いつしか神の柱は人々の生活の一部となり始めていた。
だが人類はこの時、まだ知らなかった。
この神の柱の出現が、人類の終焉の引き金となる事を。
俺達はまだ知らなかった。
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