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「これが神の柱かぁ。 すっごいでっかいんだけど」
こんな常軌を逸した建造物を目の当たりにしたら、圧倒されてしまってもおかしくない。
「天辺がギリギリ雲を突き抜けてる……。 富士山以上の高さだぞ、これ」
「だねー」
テレビで毎日目にしていたが、こうして実際見てみると神の柱の異様さをアリアリと感じられる。
壁の材質は一見すると陶磁器に酷似しているが、鉄や鋼のような冷たさがある。
こんな材質の素材は恐らく地球上には存在しない。
正面に見えているのが、開かずの扉と噂される入り口だろうか。
……ふむ、本当にあれは扉なのか?
継ぎ目も何も無く、ただの壁にしか見えないが。
だが唯一違和感のある場所は彼処だけだから、扉と思っても仕方なさそうではある。
それよりも尖塔全体を囲む、あのレールの方が気になる。
レールは天高くまで昇っており、各四つ、建造物の下部から伸びている。
そのレール間を上下に動いているあのリング。
各レールに一つずつ通っている、紅、蒼、黄金、漆黒と別々の色で光っているあのリングは一体……。
よく見てみると見覚えの無い文字がびっしり浮き上がっているな。
まるでホログラムだ。
「なんだあのリング。 どんな意味があるんだ」
「それ言ったら神の柱自体がそうじゃない? なんの為にあるのかわかんないし」
確かに。
「……うーん、ここからじゃ下が見づらいなぁ…………あっ! ねえねえ、六花! もう少し近づいてみない!?」
「は……? お前何言って…………おい! 急に引っ張んなよ! それに、あんま近づくと危ないぞ!」
俺の手を取り、神の柱に近づいていく咲に抗うが、彼女はぐいぐい引っ張っていく。
人混みを掻き分けて。
「あははっ、平気だって! 六花ビビりすぎ! はい通りまーす、ごめんなさーい。 ……おっ! 近くなってきたよ、六花!」
「俺は別に行きたくなんか…………ん? なんだ、この音……。 これはもしかして音じゃなくて……歌、か?」
先頭まであと三歩程というところ。
そこまで行くと、なにやら歌が聴こえてきた。
知らない言葉だから内容まではわからないが、オーケストラ調の歌詞だろうか。
どこか静謐で、それでいてどこか気味が悪い感覚に襲われる。
気味が悪いといえば、この直接脳内に響くような歌声もそうだ。
これを聴いてるとなんだか胸がざわつくような……。
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