演じているだけ

本当の自分

俺はいつでも、どの教科でもテストで満点が取れる。
100メートルは11秒で走れる。

クラスメイトは皆、俺の事が好きだし彼女も俺に夢中だ。

クラスで困った事があるとすぐに皆、俺の所に相談に来る。
少しは休ませて欲しいが、それが俺の役目だから仕方ないか。

両親は俺に医者になって欲しいみたいだが、俺は宇宙飛行士になりたいんだよ。
妹がクラスで俺の自慢話ばかりするのも、ほどほどにと少し注意しておくか。

何でも完璧に出来るっていうのは疲れるものだが、誰にも分かってもらえない。

そう、全てにおいて完璧な男。それが俺の本来の姿だ!

現実は・・・クラスの誰からも話しかけられないし、両親は俺に何も期待していない、妹は「私1人っ子です」と言っている。
でもそれは俺の本来の姿を知らないからだ。

俺が勉強もスポーツも出来ない演技をしていると誰も気づかないらしい。

俺は演技も完璧に出来てしまうのだ・・・だけど、そろそろ誰か本当の俺に気付いてくれないかな。