怒涛の展開?

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怒涛の展開?

「絆!!!!」  ひんやりとしてる身体を膝の上に抱きあげると、小さな呻き声とともに絆の目が開いて、次の瞬間には首に縋りつかれてた。  怒涛の展開っていうかなんていうか。  ただ、とりあえずはっきりしてるのは、無事だってこと、だ。  ぎゅうぎゅうしがみついてくる身体を抱きしめ返し、落ち着いてその背中に視線を落とせば、白っぽいのは毛布で、それを巻きつけてここに居たらしい。 「はぁぁ……びっくりさせんなよ…。心臓がどうにかなるかと思った」  絆は、小さくうーうーと唸って、俺の肩口に額を擦りつけてる。 「絆? ここで寝てたの? ん?」  擦り寄せてくる頭に頬を乗っけて聞いてみたら、絆はコクコクと頷いて、ギュッと、回す腕に力をこめた。  「もしかして、俺、待ってた?」  それには、ただうーうー唸るような声をあげただけで、一層深く額を擦り寄せる。 「ちょ、とりあえず、部屋行こう」  俺は、しがみついたままの絆を毛布ごと抱きあげると、そのまま離れない絆ごとソファーに沈み込んだ。  ちなみにこの毛布は、俺が連泊するようになってから購入したもので、丸洗いができんの。  家の洗濯機で洗えるってのは、それはそれは便利で。  なんでか?  ふふ。なんででしょうねぇ。 「おでこの皮剥けるって。ちょっとこっち向いて?」  ぐりぐり擦りつけてる額を、グッとひきはがしてその顔を覗き込んで、まず驚いたのは、真っ赤な額もさることながら、それ以上に充血した赤い目だった。  そしてそれを見られるのを拒むように、嫌々と首を振って俺の手をはらうと、また肩口に顔を埋めた。 「なんかあった?」  また、一気に不安が胸の中を駆け巡る。   俺のいない間に過去の男がやってきて無体なことをした、とか、そんなんじゃないだろうな!?  けど絆は首を横に振るだけで明確な答えを返すことはなく、ただもう、離さないとばかりにしがみついてるだけだ。 「や…まとぉ。ぎゅってして?」  やっと声になったと思ったら、既に抱き締めてるにもかからずそんな要望で。 「してるよ?」 「や。…もっと…」  駄々をこねるみたいにせがまれるのに、抱き締める腕に一層の力をこめた。 「なあ、絆……さみしかった?」  絆の態度から浮かんだ言葉を口にしてみたら、案の定また、うーうー呻く。  まじ…か。  ジワジワと、なんとも言えない、甘苦しい気持ちが滲んでくる。 「俺も、会いたかったよ?」  夕方がけて会わなかっただけなのに。  それなのに、駆け足するほど、会いたかった。  会わない週があったなんて、もう、考えられないくらい。 「うー……うっ…うぅ」  呻きが、やがて嗚咽に替わるのに、俺は絆の頭のてっぺんに何回もキスを落とした。 「なんで泣くんだよ? なんか、言って?」  ふるふると首を振る絆の顔をまた俺の方に向かせると、髪を梳き、涙でぐしゃぐしゃになった頬にキスをする。  瞼に、反対の頬にと、散らすように唇を当ててから目顔で促せば、絆はやっと口を開いた。
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