正当なアレと死因

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正当なアレと死因

 いや、なんか幸せ過ぎて怖いんだけどっ。   これはあれだよな?  9年頑張った俺への正当なアレだよな!?  腕の中でグズグズと鼻をすすりあげてる絆の額に自分の額をスリスリと押し当てながら、滲みでる歓びに表情筋がおかしくりそうなのを、なんとか堪える。   つか、この子。絆さん。  なんなの?  恋人───うわ。もう、その言葉が照れんだけど、恋人…に、素出したら、ここまでこんな可愛い感じになるの?  や。酒飲んだらこういう雰囲気のちらつくこともあったから、まぁ、甘えるタイプってのは知ってたけどさ、でも、あれがマックスだと思ってたんだよ。  それが。  いやーーーーっ、もうっ!!  やっとこ想いが通じ合ったあの日から絆がくれる素直な感情に、もう俺はグズグズのメロメロだ。   清澄にもこんな感じだったのかな? とかいう危険思想もちらつかないでもなかったけど、そこはもう過去も過去。今ここにある幸せを噛みしめなきゃ。 「そうだ。玄関に電話とアイス置きっぱなしだからとってくるな?」  大きな音たてて頬にキスしてから、立ち上がったら。 「うー…」  俺の服の裾をつかんでた絆が、そんな小さな唸り声をあげ、中腰の俺を半泣きの表情で見上げた。 「ちゅーは?」  うっ……。  心臓がっ。  俺の死因は「幸せ」かもしれない。 
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