・Cafe&Bar。

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 膝がぶつかりそうな高さのテーブルに、酒が置かれた。  男の目がグラスに向けられ、プラスの意味で反応したことがはっきりと分かる。  細く背が高いコリンズグラスに入った、「チャイナブルー」。  南国の海を思わせる、ライチリキュールベースのカクテル。  その抜けるような青い色は、ブルーキュラソー(リキュール)によって作り出されている。  アルコール度数が低く、ライチの甘みとグレープフルーツジュースの酸味で、スッキリとした口当たりは、酒に強くない男にも飲みやすいだろうと思った。  男はその好奇心旺盛な目に青い色をしっかり映すと、視線をメニューに移し、そっと手を伸ばした。 「チャイナブルーな」  カクテルにはいろんな名前が付いている。  おそらく男は、名前を知りたいんだろうと思った。 「チャイナ……ブルー……」 「中国って意味じゃねぇよ」 「え……? あ……、陶磁器……?」 「なんだ。知ってんのかよ……。飲みやすいとは思うけど、合わなかったら、他の頼むよ」  男は「いただきます」と小さく言って、グラスに口を付けた。  男の好みに合ったんだろう。  口角が少し、上がったように見えた。 「おいしい、です……」 「そ……。よかった。こっちはジントニックな……」  男の視線を感じ、一応教えてやったが、ジンにトニックウォーターを加えた無色透明の液体は、中にくし形のライムが入ってはいるものの、そこまで男の興味を引かなかったらしい。
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