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テーブルに、コーヒー二つとワッフルが運ばれた。
真っ白な生クリームが山のように盛られたワッフルは、見ているだけで、その甘ったるさが喉の奥にまで絡みついてくるようだった。
「甘いもん、好きなの?」
「……っ、はい……」
「スイーツ男子ってやつ?」
「っ、はぁ……」
俺に対し警戒心バリバリの男とは、話が全く盛り上がらなかった。
「砂糖、使う?」
男のほうへシュガーポットを置いてやると、男は小さく頭を下げた。
わずかに動いた唇では、おそらく「ありがとうございます」とでも言っているんだろう。
男はスプーンに山盛りの砂糖をすくい、コーヒーに入れると、もう二回、同じようにコーヒーへ入れた。まさかとは思ったが、男はやはり、もう一度同じように砂糖をすくった。
「お前、どんだけ入れんだよ」
つい出てしまった言葉に男が体をびくっとさせると、スプーンに乗った山盛りの砂糖が、砂時計の砂みたいにさらさらとシュガーポットの中へ落ちていった。
「いや……。わりぃ……。好きなだけ、入れてくれ……」
ビビらせた詫びというわけではないが、俺の前に置かれたミルクを差し出した。
「よかったら、これ……」
男は嬉しそうにはにかみ、小さく頭を下げると、二人分のミルクをなんの躊躇もなく、自分のカップに注いだ。
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