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・Cafe&Bar。
「半ば」ではなく、「完全に」強制的にバーへ連れ込んだ。
カフェに行く途中、目に入った一軒のバー。
赤茶色のレンガの壁に、大きめの窓が嵌め込まれた黒いドア。
横文字を並べ立てた店の名前は読めなかったが、「Cafe&Bar」の文字は俺でも読めた。
夜の街を思わせる妖しい雰囲気はなく、カフェ色が強く、落ち着いた雰囲気だった。
時間は五時を少し過ぎたところ。
日が落ち切っていない外は、まだ明るさを残していた。
カフェバーということもあってか、早い時間から営業しているんだろう。店には既に、客が結構入っていた。
店内は薄暗く、暖色系のライトに照らされ、落ち着いたオレンジ色をしている。
「なんにする?」
男は教科書でも読むみたいに、斜めに立てたメニューを熱心に見ていた。
「……っ……、アイス……、カフェ、オーレを……」
「あぁっ?」
ここはカフェでもある。
けど、バーでもある。
俺の短い返しの中には、「なんでアルコール頼まねぇんだよ」という威圧を含んでいた。
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