・Cafe&Bar。

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 ジントニックを飲み終えると、ジンベースのジンフィズ、ギムレットを立て続けに頼んだ。  特に面白い色でもないせいか、男が食いつくことはなかった。  ただ、カクテルと言えばって感じの、ショートドリンク用の細く長い脚の付いた、逆三角形のカクテルグラスに入ったギムレットが運ばれてきたときには、男の目が、おっ! と少しだけ反応したように見えた。  スイーツ男子には、ベイリーズ・オレを頼んでやった。  アイリッシュウイスキーに、スピリッツ(蒸留酒)とカカオ・バニラ・チョコレートなどのフレーバーを加えた、原料の半分がクリームというクリーム系のリキュール。そこに牛乳を加えた「ベイリーズ・オレ」。  コーヒーに、あほほど砂糖とミルクを入れていた男が好みそうなカクテルだと思った。  案の定、カフェオレにも見えるベイリーズ・オレを、男は嬉しそうに飲んでいた。  グラスに一口残ったギムレットを(あお)り、カクテルの王様といわれるマティーニを注文した。  ここで俺の、何かのスイッチが入った。  いや……、反対かもしれない。  ぴんと張っていたものが、一気に緩んでしまったんだろう。  固く閉じていたはずの喉が開き、気づいたら俺は、よく知らない男にべらべらと余計なことを話し始めていた。
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