別れは朝日の綺麗な浜辺で

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別れは朝日の綺麗な浜辺で

シダーバーグはウィスコンシン州内に位置する、住宅街と色とりどりのストアーが太陽に燦々と照らされ立ち並ぶ地域である。 アメリカ北部ということもあり、気温は神無月の下旬となった今ではすっかり冷え切っていたが、背の高い木々は未だ緑の葉を残し、モノトーンな煉瓦造りの建物ではハーブティーやら、ピザやらを何食わぬ顔をした人間達が入れ替わり、立ち替わりで出入りし、頬張っていた。 その中央にある車道は昼時である所為か、多少の車の流れがあった。 そんな、ワシントンアベニューと呼ばれる庶民の賑わう通りの側に有るベンチに、白い湯気のたちのぼるジャスミンティーを片手に持つ男が腰掛けていた。 前髪は彼の視界を遮って仕舞う程長く、小柄な彼には少し不自然な長さの黒いコートを着ている。 右ポケットからカメラを取り出す。 反対には世界の瞬間の数々が写真として残されている。 亜寒帯湿潤気候の凍りつくような寒さには関東平野の冬対策では太刀打ちし切れない。それどころか無意味である。 はあ、と小さく息をするとその空気は凍りつき、太陽に白く照らされた。 誰かを待っている訳ではなければ、目的もなく、ただ自分探しの放浪をしている訳でもない。 男は人探しをしている。 ただ1人、何処かに消えてしまった少女を追ってアメリカの大地へとやってきた。 しかし、この人探しはただの紛い物で。 砂の大地の蜃気楼を夢と重ねるような、そんな終着点の存在すらも不確かな旅だった。 少し、そんな僕の人生を話そうと思う。
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