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再び
昨日、会った場所で立ち止まる。ジョンがマーキングを始める。私の目はさえていた。
森君が、走ってきた。
夢じゃなかった。
「おはよう」と彼は立ち止まる。汗をかいて顔が赤い。
「おはよう。あの、急に止まらないで歩いた方がいいよ」
つい口に出た。
上から目線だったかなと思ったけど、森君は「そう、なの?」とそのへんをぐるぐる回り始める。
「昨日はびっくりしたよ。
伊藤さんも走るの?」
「走らないよ、この子の散歩だけ。
さっきのは、陸上やってたお兄ちゃんから聞いたの」
「そうなんだ。散歩、毎日してるの?」
私はうなずく。
「ジョンを飼い始めて、三年間毎日」
「マジで? こんなこと言ったらあれだけど、意外だな」
彼は驚き、「よく言われる」と私は笑う。
友達に「ネコちゃん」と呼ばれるくらい、ぼうっとしている私だ。親でさえ「世話できないと思ってたのに不思議と続いてるよね」と言ってくる。
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