成果

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 森君は6人中2位だった。  ゴール後、男友達のところに行くだろうと思ったけど、まっすぐ私のところに駆けてきた。 「伊藤さん、見てた!?」  上気した森君の顔。弾む声につられた私は、「うん、すごかったね!」とはっきりした声で返した。  彼が片手をあげたから、戸惑ったけどハイタッチした。ぱぁん! といい音がした。  クラスメイトの男子が「森ー!」と呼ぶ声がして、「じゃ」と森君は去っていく。 「ネコちゃん、森君と仲良かったっけ?」  友達の声が耳を通り過ぎていく。手のひらがじんじんした。  嬉しかった。  けど、体育大会終わっちゃった。  森君、もう走らないだろうな。  胸の中、ちくりとした痛みが走った。
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