体に染み付いたもの

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体に染み付いたもの

 振り向くと、森君がちょうど立ち止まったところだった。 「伊藤さん、おはよう」  私は数秒、固まった。 「……なんで?」 「え」 「体育大会終わったから、もう会えないのかなって」 「ああ、いやなんかさ……」  彼は下を向いて、首の後ろをかく。 「目が覚めて、着替えちゃって。走らないと気持ち悪くてさ。  これって、習慣になったってことだよな?」  あれだけのことをやったのに、まだ少し不安そうな顔だった。  これまでのことが思い起こされる。
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