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支配下国
大帝国ギガストロアに踏みつぶされるように、小国マインは滅ぼされた。
王子であるノーマ・ライズ(17)を筆頭に生き残ったマイン国民は、ギガストロアの支配下に置かれる。
玉座の間、そこに居た父は戦犯者として処刑された。
代わりに本日より、ギガストロア国マイン領となったこの地に新しいトップ、すなわち領主様が赴任して来る。
王子の座は剥奪され新たに"マイン領筆頭"となったライズとその配下たちは、諸手を挙げて喜び歓迎しなければならない。
両親を!友人を!国民を!
大量虐殺した国の人間を、これから領主様と崇め平伏し、命令には絶対服従しなければならない。
本当はそんな奴、殺してしまいたい!
小国ながらも王子として、穏やかに生きて来たライズの中にこんなにもドス黒い感情があるとは知らなかった。
はらわたが煮えくり返るとはこんな感情なのか!
だが耐えねばならない。
ライズの軽率な行動次第で、生き残ったマイン領の人間からさらに死者をだす事になる。
「遅い!さっさと終わらせてしまいたいのに」
歓迎式の準備は、既に完了している。
後はそこの玉座の間の扉が開いて、新領主が登場すればライズをはじめとしたマイン領の要人たちは盛大な拍手を送り、平伏し、服従を誓う宣言をする、という流れだ。
ライズはじっと待っていると怒りが蓄積されそうな気がしたので、会話でもして紛らわせることにした。
「ヒションよ、新領主様の素性を改めて教えてくれ」
ライズの幼いころからのお世話係兼教育係のコンビニン・ヒション(31)に声を掛けた。
「はい、ギガストロアより送られてくる領主の名はミカケ・フツーノ(34)。ギガストロア大帝(63)の第7妾の一人娘、なお一度離縁の記録もございます」
「第7夫人ではなく妾の子、女!しかもバツイチ。明らかに適当な人間をよこしたなギガストロア大帝!やはりこんな国どうでも良かったのであろう!」
落ち着くつもりで会話をしたのだが、質問がよく無かった。
ライズの怒りは結局、蓄積される。
そんなライズの心境などお構いなしに、玉座の間の扉がついに開く。
新領主ミカケ・フツーノはその一歩を踏み入れた。
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