暴君⁉

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暴君⁉

ミカケ・フツーノは玉座まで一直線に敷かれた赤絨毯の上を、コツコツとヒールを鳴らしながら歩み、玉座に腰かけた。 真っ白な毛皮のローブ、銀の錫杖、そしてマイン国の王冠。いかにも「私が主である」と身なりが物語っている。 (あの王冠は父の物だった・・・あの女!!何の遠慮も無くもう自分の物にしやがって!!) また怒りが蓄積されるライズ、だがそれどころではない。 予定通り、フツーノの前にマイン領要人たちは皆整列し、片膝を付き、首を垂れる。 そして、その集団の先頭のライズが予め用意していたセリフを述べる。 「私がギガストロア国マイン領の筆頭ノーマ・ライズと申します。ミカケ・フツーノ様の新領主としての就任を我ら一同心よりお喜び・・・」 「よい!!」 ライズの歓迎の挨拶を強制終了させたフツーノ。 「は・・・はあ・・・」 戸惑うライズ。 「もう挨拶など良い!」 吐き捨てる様に話すフツーノ。 「し、しかし、我々がギガストロア国に服従する事を示しておかないと・・・」 「ふん、そんなもの聞くまでも無い!こんなちっぽけな国がギガストロアに逆らえない事は分かり切った事だ。それに私がお前らの主になる事を、お前らが嬉しい筈がないだろう。白々しいセリフなど聞きたくないわ!!」 「い、いや・・・」 「ほれみろ!図星ではないか!!いいか、貴様らは私の言う事に黙って従っていれば良い!逆らえば分かっているな?こんな嘘まみれの式典など不要!!」 フツーノはバッ!と立ち上がると玉座の間に隣接している政務室に入り、バタン!と強く扉を閉めた。 無礼千万な態度に平伏していた20名ほどのマイン領要人たちから、"なんだあの女!"と不満と怒りの声が漏れる。 そしてライズの蓄積されていた怒りはとうとう爆発した。
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