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取引
フツーノは顔を赤らめ、あからさまに取り乱している。
「き・・・ききき・・・貴様、忘れろ!今、ここで聞いた事は全て忘れろ!!」
「いや、無理を言わないで下さい」
「い、いいか!私の本性を誰かに話してみろ!すぐに本国から軍隊を呼び寄せて、この国を滅ぼすぞ」
「ふっ」
「なななっ!!」
どう見ても年下の少年に嘲笑されるフツーノ。
「バ、バカにしてるな貴様!何がおかしい!」
「この国を滅ぼす、そうするつもりなら大帝はとっくにしてるでしょう。わざわざ支配下に置いたからには何か企みがある筈、第7妾の子のミカケ様にこの国をどうこうする決定権なんか無い」
「ううう!!」
超図星である。
「それに貴方は優しい人だと思う、感情でそんな事はしない・・・と思いたい」
ライズは真っすぐな眼差しで訴えた。穢れの無い瞳に圧倒されるフツーノ、勢いが和らぐ。
「・・・う、うん。では・・・その・・・頼む。この事は誰にも言わないでくれ。私は一人だ、舐められてはどこにも居場所がなくなってしまう」
ライズは少し考え込んでから返答した。
「分かりました、誰にも言いません」
「本当かすまん」
「ただし、条件があります」
「ななな!私を脅す気か⁉」
「違いますよ、貴方のサポートを俺にやらせてください」
「・・・え?協力してくれるのか?」
「はい、多分貴方一人では本性隠すの無理そうです。凄くドジっぽい・・・」
「う・・・言い返せない」
「それに政治素人なんでしょ?いくら本国の言われた事するだけにしても、そんな人をトップにしておくのは俺が怖いです」
「む・・・正論だな」
「貴方も一人で心細いだろうし、俺とは普通に話しましょう。これからはフツーノ様と呼ばせていただきます」
「た・・・助かる!嬉しいぞ!・・・ん?しかしなぜそこまで私にしてくれるのだ?・・・まさか!!」
「え?」
フツーノは、途端に表情を変え、険しい視線をライズに突き刺した。
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