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「愛はありませんよ。ただの悪ふざけです。」
戸本が頭を掻きながら苦笑する。
気遣うような目で、木原さんが戸本をジッと見つめたあと、俺を見た。目が合ってしまったので、俺は会釈をする。
「お疲れ様です。田口です。そしてこいつは戸本です。」
「あ!ごめんなさい!間違えた!戸本さん、ごめんなさい!」
「何言ってるんですか?俺は戸塚ですよ。」
キメ顔で平然と嘘をつく戸本を、木原さんが「へ?」と見つめる。
「嘘をつくな、戸本。」
「いや、俺は今この瞬間から戸塚になる。」
「あぁ・・やっぱり私間違えて・・ごめんなさい。」
木原さんが本当に申し訳なさそうに頭を下げたあと、俺の方を向き
「お疲れ様です、田口さん。木原です。」
と、律儀にも先ほどの俺の挨拶に返答してくれた。
「はい、存じ上げてます。戸本がよく木原さんのこと話してるので。」
「おいっ!」
戸本が俺に威嚇する。
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