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戸本が俺の両肩を掴んで揺さぶる。
「やめろ。酒飲んだあとに揺さぶるな。」
「だってお前が終わらせようとするからっ!」
騒ぐ俺達に木原さんが駆け寄り、戸本の手を掴んだ。
「はうっ!!」
手に触れられた戸本が、女子高生のように赤くなり、俺は驚いてその顔を見つめてしまった。
「戸本さん、田口さん、大丈夫。私、誰にも言いません。」
俺と戸本の間で、木原さんが真剣な表情で告げた。
「バレたら終わりなんておかしいです。私、陰ながらお2人を応援します。」
木原さんがまっすぐ戸本を見つめて頷く。戸本は耳まで赤くなり、恋する少女のような目で木原さんを見つめていた。
俺の肩の上で重なっていた2人の手が動く。戸本が俺の肩から手を離して、木原さんの手をしっかりと握ったのだった。
「木原さん。」
「戸本さん。負けないで。」
「はい、負けません。ありがとうございます。」
「うん。田口さんも、そんな自棄にならないで。安心してください。私、他言しませんから。」
「いや、どちらかというと、俺が戸本のことを木原さんに向けて他言しようとしていまして・・・。」
「田口!黙ろうか?!」
「おい。」
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