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めんどくせーなー、と思いながら、目の前で嘆く男の後ろ姿を眺める。
独り言激しくね?俺、居るんだけど?
残業中に、背後の人間の存在忘れて、割と重めな独り言を炸裂させるって、大人としてどうなのよ?
無表情にコーヒーをすすると、その音に目の前の男が振り返る。俺がいることに驚くと思ったのに、男前な顔で冷静に見つめてくるから、俺の方がビクリとし、手元のカップから飛び出たコーヒーが手にかかってしまった。
「・・・アッツ。」
手を振り払いながら呟くと
「田口はさ『リアクションしてはいけない』なの?」
と訊かれた。
「いや。」
「リアクション皆無じゃん。」
「戸本は『嘆き王』なの?」
「いや、『かまって王』だな。割と重い悩みを聞こえよがしに垂れ流してみたりして、背後の同期に声をかけてもらおうとしたりする王様ね。」
「うぜー。」
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